評価の基準
この分野の順位は、前提を書かないと誤解を生みます。精度を決めているのはツールより録音環境だからです。マイクから遠い声、複数人の同時発話、スピーカー越しの音声はどのツールでも精度が落ちます。そのうえで次の3軸で評価しました。
| 評価軸 | 見ている点 |
|---|---|
| 日本語の精度 | 固有名詞・専門用語の誤変換。辞書登録ができるか |
| 録音の方式 | 会議に参加して録るか、ファイルを渡すか、自前で処理するか |
| 料金と無料枠 | 恒久的な無料枠か期間限定トライアルか |
選び方の詳細と録音環境の改善方法はAI文字起こし・議事録ツール完全ガイドで扱っています。
総合ランキング
1位:Notta
日本語の精度で最も安定しており、国内での採用が多いツールです。無料枠があり、Pro 月1,980円、Business 月4,180円。主要ツールの中で有料の下限が最も安い点も実用的な利点です。固有名詞の辞書登録に対応しているため、自社の製品名や参加者名を先に登録しておけば誤変換が大きく減ります。録音ファイルのアップロード型が中心で、対面の会議や取材にも使えます。Notta vs Otter.aiで日本語と英語の得意分野を比較しています。 → Notta の詳細
2位:Otter.ai
英語のリアルタイム字幕で最も強いツールです。会議中に文字が流れるため、聞き取れなかった箇所をその場で確認できます。無料枠があり、Pro $16.99/月、Business $30/月。英語の会議が多い環境では1位に入れ替わります。日本語の精度は上位ツールに一歩譲るため、日本語中心の用途では順位がこの位置になります。 → Otter.ai の詳細
3位:Fireflies.ai
ボットを会議に招待して録る方式で、招待するだけで録画・文字起こし・要約まで自動で残ります。定例のオンライン会議では運用の手間がほぼゼロになり、この点で他方式を上回ります。各参加者の音声を個別に取得できるため話者の分離精度も高い。無料枠があり、Pro $18/月、Business $29/月。対面の会議には使えないのが制約です。 → Fireflies.ai の詳細
4位:Fathom
同じボット参加型で、個人利用が無料という点が際立ちます。費用をかけずにオンライン会議の記録を始めたい場合の第一候補です。Team $15/月。無料枠の広さで選ぶなら順位は上がりますが、チームでの管理機能や連携の広さでは上位に譲ります。 → Fathom の詳細
5位:tl;dv
録画にタイムスタンプ付きのメモを残せるのが特徴です。「この決定はここで話された」と後から辿れるため、議事録ではなく録画そのものを資産として使う運用に向きます。無料枠があり、Pro $25/月、Business $59/月。価格は同系統より高めです。 → tl;dv の詳細
6位:Rimo Voice
日本語に特化した国産サービスで、日本語の会議での精度に強みがあります。Liteプラン $22/月、Standard $59/月。無料枠は期間限定のトライアルで、恒久的な無料利用はできません。試用期間内に判断する必要があるため、気軽に試したい段階では上位の海外系のほうが扱いやすくなります。 → Rimo Voice の詳細
7位:AI GIJIROKU
日本製の法人向けサービスです。Standardプラン $22/月、Proプラン $66/月。こちらも無料枠は期間限定トライアルです。国内企業向けのサポートや請求形態が必要な場合に候補になりますが、個人や小規模での費用対効果では上位に及びません。 → AI GIJIROKU の詳細
8位:Whisper
オープンソースで公開されており、自分の環境で処理を完結させられます。音声を外部サービスに送れない場合の実質的な唯一の選択肢です。顧客との商談、採用面接、医療や法務の相談といった用途では、精度の議論より前に条件で決まります。API経由なら従量課金。技術的な準備が必要なため総合順位はこの位置ですが、要件が合えば代替がありません。 → Whisper の詳細
状況別の最適解
| 状況 | 選ぶべきもの | 料金 |
|---|---|---|
| 日本語の会議が中心 | Notta | 無料枠/月1,980円 |
| 英語の会議が中心 | Otter.ai | 無料枠/$16.99/月 |
| 定例オンライン会議を自動で残す | Fireflies.ai | 無料枠/$18/月 |
| 個人で無料から始める | Fathom | 個人無料 |
| 録画を資産として残す | tl;dv | 無料枠/$25/月 |
| 対面の会議・取材 | Notta/Rimo Voice | 無料枠/$22/月 |
| 音声を外部に出せない | Whisper | 無料(要環境) |
まず確認するのは対応プラットフォーム
順位を見る前に確認すべき現実的な条件があります。自社が使っている会議プラットフォームに対応しているかです。ここで候補が絞られてしまうため、精度の比較より先に来ます。
ボット参加型(Fireflies.ai、Fathom、tl;dv)は、対応しているプラットフォームの会議にボットを招待して録音します。主要なオンライン会議サービスには概ね対応していますが、社内で使っているものが対象外だと機能しません。契約前に自社の環境で試してください。
あわせて管理者の設定で外部アプリの参加が禁止されていないかも確認が必要です。組織のセキュリティ設定でボットの参加をブロックしている場合、個人の判断では導入できません。この確認を飛ばして契約すると、使えないまま料金を払うことになります。
この制約を回避できるのがアップロード型(Notta、Rimo Voice)です。会議自体は普段どおり行い、録音したファイルを後から渡します。手間は増えますが、プラットフォームや管理設定に依存しません。組織の制約が読めない段階では、まずアップロード型で試すほうが確実です。
順位より先に決めるべきこと
録音の同意。社外の相手が参加する会議では、事前の告知と同意が原則です。ボット参加型は参加者一覧に表示されるため気づかれやすい一方、黙って入れると不信感につながります。定例化するなら招待時点で明記してください。
音声とテキストの保存先。文字起こしサービスには音声そのものが渡ります。商談、面接、機微な相談が対象になる場合、その音声を外部に保存してよいかは組織の規定と契約で決まります。判断基準はAIツールのデータポリシー比較にまとめています。
「文字起こし」と「議事録」は別物。全文をそのまま配っても読まれません。決定事項、担当者と期限、持ち越し論点の3点に絞る工程が必要です。多くのツールの要約機能は「話された内容のまとめ」であってこの抽出になっていないため、汎用チャットに渡して形式を指定するほうが実用的です。
組織での運用ルールの作り方はAIツールの社内導入ガイド、音声合成の側はAI音声ツールランキング、条件から絞るなら無料診断を使ってください。
よくある質問
日本語の精度が一番高いのはどれですか?
録音環境が同じであればNottaやRimo Voiceが安定しやすい傾向です。ただし精度への影響はツールより録音環境のほうが大きいため、まずマイクと録り方を見直すほうが効果が出ます。
無料プランだけで足りますか?
月に数回の会議であれば足ります。無料枠は月あたりの文字起こし時間で区切られることが多いので、自分の会議時間の合計と照らしてください。国産ツールの一部は無料枠が期間限定トライアルです。
対面の会議でも使えますか?
使えますが精度は落ちます。1本のマイクで複数人の声を拾うため話者の分離が難しくなります。可能であれば話者の近くにマイクを置くか、参加者それぞれの端末で録るほうが結果が良くなります。
録音に参加者の同意は必要ですか?
社外の相手が含まれる場合は事前の告知と同意を取るのが原則です。社内の定例会議でも初回に明示して運用ルールとして共有しておくと、毎回の判断が不要になります。
音声を外部に送りたくない場合はどうすればよいですか?
Whisperはオープンソースで、自分の環境で処理を完結させられます。技術的な準備は必要ですが、商談や面接のように音声を外に出せない用途では現実的な選択肢です。