評価の基準は3段階ある
「プライバシーに配慮している」という表現は曖昧なので、当サイトでは3段階で記録しています。段階が上がるほど守りは固くなり、その分だけ手間か費用がかかります。
| 段階 | 意味 | 該当数 |
|---|---|---|
| ① 学習除外(オプトアウト) | 入力を学習に使わない設定が選べる | 43ツール |
| ② ZDR(データを保持しない) | 処理後にデータを残さない提供がある | 9ツール |
| ③ セルフホスト | 自分の環境で動かすので外部に出ない | オープンソース系 |
①は多くのサービスで選べますが、無料プランでは既定で無効、有料や法人向けで有効になる構成が一般的です。プランを上げることで条件が変わる点が見落とされがちです。
②のZDRは提供が限られ、104ツール中9ツールだけです。しかも多くは法人向けの契約やAPI利用が前提で、個人向けプランでそのまま使える機能ではありません。契約条件として交渉する対象だと理解してください。
③は費用と手間が発生しますが、要件として「外部に出さない」が動かせない場合は唯一の解です。判断の考え方はAIツールのデータポリシー比較にまとめています。
総合ランキング
1位:Claude
学習除外とZDRの両方が記録されている数少ないツールです。無料枠があり、Pro $20/月、Team $25/月。個人向けプランでも入力を学習に使わない方針が明示されている点が実務上の安心につながります。長文の資料を読ませる用途が多く、その際に扱う情報の機密度が高くなりやすいため、この条件の価値が特に大きい組み合わせです。 → Claude の詳細
2位:ChatGPT
同じく学習除外とZDRの両方があります。無料枠があり、Plus $20/月、Team $25/月、Enterprise は要問い合わせ。ただし無料プランでは学習に使われる設定が既定で、ここを切り替えるか上位プランに上げるかの判断が必要です。用途が最も広いため、業務で使うなら設定の確認を最初にやってください。 → ChatGPT の詳細
3位:Tabnine
コーディング支援で、企業向けにセルフホストの構成を用意している点が決定的です。無料枠があり、Pro $9/月、Enterprise $39/月。ソースコードを一切外部に送信できない要件がある組織では、補完の性能を比べる前にこの条件で候補が決まります。学習除外とZDRの両方が記録されています。 → Tabnine の詳細
4位:Codeium
個人利用が無料で、Teams $15/月、Enterprise は要問い合わせ。Enterprise 向けにセルフホストの選択肢があり、学習除外とZDRも記録されています。費用を抑えつつコードを外に出さない構成を組みたい場合の候補です。 → Codeium の詳細
5位:みらい翻訳
国産の法人向け翻訳サービスで、入力データを学習に使わない運用を前提に設計されています。無料枠は期間限定トライアル、Standardプラン $22/月、Enterprise は要問い合わせ。翻訳は入力する情報量が多く機密度も高くなりやすい作業なので、この条件を契約で担保できる価値が大きい領域です。個人利用には割高です。 → みらい翻訳 の詳細
6位:Dify
セルフホストできるAIアプリ基盤です。Community版はセルフホストで無料、Professional $59/月。社内ナレッジを参照するチャットを、データを自社環境から出さずに構築できます。技術的な運用体制が必要ですが、要件が「外部に出さない」なら選択肢は限られます。 → Dify の詳細
7位:n8n
業務自動化ツールで、セルフホストなら処理が自社環境で完結します。セルフホストは無料、クラウド版はStarter $24/月。自動化はデータが複数のサービスを通過するため、経路のどこか1つでも条件を満たさないと全体が成立しません。自前で持てることの価値がここにあります。 → n8n の詳細
8位:Whisper
オープンソースの文字起こしで、自分の環境で動かせば音声が外部に出ません。商談、採用面接、医療や法務の相談といった用途では、精度の議論より前にこの条件で決まります。API経由なら従量課金です。同じくオープンソースのStable DiffusionとFLUXも、画像生成で同じ位置にあります。 → Whisper の詳細
要件別の最適解
| 要件 | 選ぶべきもの | 費用 |
|---|---|---|
| 汎用チャットで学習除外を確保 | Claude/ChatGPT | $20/月 |
| コードを外部に出せない | Tabnine/Codeium Enterprise | $39/月〜 |
| 文書を外部に出せない(翻訳) | みらい翻訳 | $22/月 |
| 社内ナレッジのAIを自前で持つ | Dify | 無料(セルフホスト) |
| 自動化の経路を自社内に閉じる | n8n | 無料(セルフホスト) |
| 音声を外部に出せない | Whisper | 無料(要環境) |
| 画像生成を自社内で | Stable Diffusion/FLUX | 無料(要GPU) |
順位より先に確認すること
プランごとに条件が変わる。同じサービスでも無料と有料で入力データの扱いが違います。「このツールは安全」ではなく「このプランのこの設定なら」という粒度で確認してください。
ZDRは契約条件であって機能ではない。個人向けプランのスイッチで有効になるものではなく、法人契約やAPI利用の条件として提示されるのが通例です。必要なら営業窓口に確認する対象です。
入力しないのが最も確実。設定や契約より先に、そもそも渡さないという選択があります。固有名詞を「A社」「担当者X」に置き換えれば相談の内容はほとんど変わりません。この運用で回る場面は想像より多いです。
ログの保存期間も見る。学習に使わないことと、保存しないことは別です。会話履歴が残る場合、アカウントの乗っ取りがそのまま情報漏洩になります。二要素認証の設定も忘れないでください。
脅威の類型ごとの対策はAIのセキュリティリスク5類型、組織での運用ルールはAIツールの社内導入ガイドにまとめています。条件から絞るなら無料診断を使ってください。
よくある質問
無料プランは危険ですか?
入力データの取り扱いという点では、無料プランのほうが制約が緩い(学習に使われる設定が既定である)ことが多いです。ただしサービスごとに異なるため、無料か有料かではなくそのプランの現行条件を確認するのが正しい判断です。
ZDRとは何ですか?
処理後に入力データを保持しないという条件です。当サイトの記録では104ツール中9ツールに提供がありますが、多くは法人契約やAPI利用が前提で、個人向けプランのスイッチで有効になるものではありません。
セルフホストすれば完全に安全ですか?
外部サービスにデータが渡らないという点は解決します。ただし自社環境のアクセス管理、バックアップ、脆弱性対応は自分の責任になります。守る範囲が移動するだけで、なくなるわけではありません。
社内規定で外部サービスが使えません。何ができますか?
セルフホスト可能な選択肢(n8n、Dify、Whisper、Stable Diffusion)か、データの取り扱いを契約で担保できる法人向けサービスが候補になります。加えて、固有名詞を置き換えて使う運用でも多くの場面は回せます。
入力してしまった場合はどうすればよいですか?
該当の会話を削除し、学習利用の設定を確認し、何を入力したかを記録してください。個人情報が含まれていた場合は自分だけで判断せず、上位者や管理部門に上げてください。手順はAIのセキュリティリスク5類型で詳しく扱っています。